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軽やかにデリケートゾーンを保湿。「フェミニンセラム」が生まれるまで

『明日 わたしは 柿の木にのぼる』のフェミニンケアシリーズに、この春、新しいアイテムが加わります。

軽やかでさわやかなテクスチャーですっと肌に馴染み、自律神経を整えるラベンダーが香る「フェミニンセラム」です。

新商品はどのようにして生まれたのか。開発の背景にある想いを『明日 わたしは 柿の木にのぼる』を展開する株式会社陽と人の代表 小林味愛が語ります。

 

顔と同じように、デリケートゾーンもケアする新習慣を。

 

そもそもデリケートゾーンをケアするという発想がない人も少なくないように思います。専門のアイテムでのケアが必要なのでしょうか?

 

小林: デリケートゾーンには、いろんな菌が住んでいて調和を保つことで、雑菌から女性のカラダを守る自浄作用の働きがあります。汚れが溜まりやすい場所ですが、洗いすぎてしまうと、共生している菌のバランスが崩れちゃう。また、ストレスなどさまざまな要因で、菌のバランスが崩れると、かゆみやにおい、炎症などの不調が出てきます。だから素肌にやさしいデリケートゾーン専門のソープが必要になるんですね。

「菌が住んでいる! デリケートゾーンは「自分の心とカラダを知る」バロメーター【産科医 宗田聡先生 Interview】

 

それからデリケートゾーンは乾燥するんですよ。洗ったあとは、保湿が大事。顔のスキンケアと同じように、デリケートゾーンケアも、洗うことと保湿がセットです。

 

具体的にどんなふうにケアをすればいいんでしょう?

 

小林: 『明日 わたしは 柿の木にのぼる』のアイテムでケアの流れをお伝えしますね。まず、デリケートゾーンの肌質に合わせた弱酸性のソープ「フェミニンウォッシュ」で洗う。ボディソープとは分けて、なめらかな泡で包み込むようにして溜まった汚れをやさしく洗い流していきます。膣の中までゴシゴシ洗う必要はありませんよ。

お風呂上がり、洗ったあとは「フェミニンオイル」でしっかり保湿をします。膣の中までケアされる方もいますし、抵抗があれば表面だけでも。会陰マッサージをするときにも使っていただけます。毎日ちゃんとケアをしいてると、顔と同じように今日は突っ張っているな、乾燥しているな、というのが感覚でわかってくるので、そういう日は多めにオイルを塗って潤いを与えましょう。

スペシャルケアとして、生理中にムレたり、下着やタイトなボトムスで締め付けられてむず痒かったりするときに、「フェミニンミスト」をシュッと吹きかける。不快感やいやなにおいもすっきりクリアになります。スプレータイプで外出先でも使えるのも便利です。また、一つだけパッケージの色が違う「フェミニンミルク」はデリケートゾーンだけでなく、気になる脇や汗のにおいをケアして肌を健やかに保ってくれます。

 

顔のスキンケアと同じなんですね。デリケートゾーンをケアすると、どんないいことがあるんでしょうか?

 

小林: 自分の心身の不調に気づきやすくなります。デリケートゾーンは、自分の心身の状態と結びついている場所です。不摂生やストレスなどによって自律神経や女性ホルモンのバランスが乱れると、デリケートゾーンにも症状として現れる。逆に、健やかに整っていれば、デリケートゾーンも健康な状態に保たれます。

1日10秒でもいいから、日々の中にデリケートゾーンをケアする時間を持つことによって、自分の心身の状態に耳を傾けることができる。デリケートゾーンをケアするというと、気持ちの良いSEXのため、モテるため、美容のためといった観点が目立ちますが、忙しい日々の中で句読点を打つようにして、自身の健康を保つための役割も果たしてくれるんです。

 

デリケートゾーンにさわやかな潤いを与える「フェミニンセラム」誕生

 

今回、新商品「フェミニンセラム」を開発しようと思ったのはどうしてですか?

 

小林: つくりたかったからです(笑)。フェミニンオイルもベタつくようなテクスチャーではないんですが、もっとライトにさっぱりと保湿ができるアイテムが、私自身もほしかった。季節や気分に応じてテクスチャーや香りが選べるように、オイルよりも軽やかでさわやかな「フェミニンセラム」を開発しました。特に春夏、これからの季節にぴったりのアイテムです。

既存のアイテムに今回新しく「フェミニンセラム」が加わったことで、季節や好みに応じた香りやテクスチャーで、洗って保湿するデリケートゾーンのトータルケアができるようになりました。

 

いいですね。デリケートゾーンのケアアイテムだからこそのこだわりはありますか?

 

小林: デリケートゾーンはカラダの皮膚の中でも特に薄く、外部からの刺激にも弱いエリアです。だからこそどこまでも肌にやさしいアイテムをつくりたかった。『明日 わたしは 柿の木にのぼる』のアイテムはすべて、石油系界面活性剤をはじめ防腐剤や鉱物油も無添加。厳選した植物性由来の成分を使用した、シンプルな処方にこだわっています。

 

こだわりを持って商品を開発していく上で、苦労したことはありますか?

 

小林: もともと私は2017年に、福島県国見町を拠点に「“もったいない地域資源”を価値化し、“持続可能な地域循環経済”を創出する」をビジョンに掲げ、株式会社陽と人を設立しました。地域に眠るもったいない資源を使って、農家さんたちの所得を向上させる産業をつくりたいと思っていたんですね。地域にある原料で、デリケートゾーンケアに適している成分とその抽出方法はなにか。国見町の名産品であるあんぽ柿をつくる過程で廃棄する皮に出会い、抽出方法から配合、香り、テクスチャーまで、心から納得いくものができるまで3年のときがかかりました。今回の新商品をひとつつくるのにも、1年かけています。

植物由来のシンプルな処方でつくるのは、大量生産もできないし、専門の工場や技術が必要だし、手間もかかり、なかなか大変です。でも、正直で誠実なブランドでありたいと思っているので、妥協せず時間をかけてつくっています。

 

女性がヘルスリテラシーを高め、もっと健やかに働き暮らせるように

 

3年の開発期間を経て、2020年1月に『明日 わたしは 柿の木にのぼる』を立ち上げた背景にはどんな想いがあったのでしょうか?

 

小林: 私が社会人になったのは「女性活躍」と声高に言われ始めた10年ほど前。国家公務員としてキャリアをスタートし、転職して日本総合研究所でコンサルティングとして忙しく働く中で、ずっと違和感があったんです。「女性活躍」と言っても、会議は長時間で、徹夜も多く、カラダを酷使して無理をしないと、評価もされず居場所がなくなる。そもそも女性が少なく、子育てと仕事を両立している人は皆無。ある選択肢は産むことをあきらめるか出世をあきらめるか。自分自身の心とカラダの健康や子どもを産み育てることを犠牲にしないと、女性が活躍できない社会に疑問を抱いていたんですね。

この頃の私は、何年もの間、何度も「カンジダ」を繰り返していました。働きすぎてカラダに負荷をかけてストレスを感じ、デリケートゾーンにカンジダ菌が繁殖して、かゆくなる。昼休みに病院に駆け込んで薬を処方してもらうものの、根本的な働き方や生活は変わらないので、またすぐに発症しちゃう。自分のカラダに送られる不調のサインを無視しすぎて、カンジダにも生理不順にも慣れてしまっていました。でも、仕事の波を超えたとき、自分のカラダがおかしいことに気づいたんです。

どうして私のカラダにはこんなに不調が起きるんだろう? そこからいろいろ調べ始めて、自分が働きすぎていることと、「ヘルスリテラシー」が欠けていたことを思い知ります。女性がキャリアを考え自分の人生の選択をしていくとき、心とカラダの健康は切り離せない。女性特有のヘルスリテラシーを高めていくことは、私たちが自分の人生を選択して歩んでいくための一つの鍵になる、と。

ヘルスリテラシーの向上が、女性が活躍できる社会をつくる【日本政策医療機構マネージャー今村優子さん Interview】

 

ヘルスリテラシーを高め自分の人生を立ち止まって考え始めた私は、会社を辞めて、起業することを選びました。自分の心とカラダの健康を守るために、ヘルスリテラシーの重要性を伝えていくために、そして自分が生きている間に女性も男性ももっと働きやすい社会にするために。その手段の一つとしてフェミニンケアブランド『明日 わたしは 柿の木にのぼる』を立ち上げました。

 

デリケートゾーンのケアで、日々自分を大事にする時間を保つ

 

ブランドを始めてから1年以上が経ち、反響や変化は感じていますか?

 

小林: 使ってくださっている方から嬉しいお言葉をいただいています。「生理時のむれが解消された」と効果を感じくださる方、「娘のオムツ替えのときにミストを使っています」と赤ちゃんにご使用いただいている方。普段は話さないデリケートゾーンのお悩み相談を寄せてくれる方もいますし、「“明日”でいいと言ってくれることに救われた」など、ブランドストーリーに共感してくださる方もいます。Instagram LIVEWEB MAGAZINEを見てくださった方からの感想も届いていて、感激しています。


私自身もデリケートゾーンのケアをするようになって、自分のPMSに気づき、「今日は事務作業を中心にやろう」など働き方を調整できるようになりました。今回の新商品も含め、デリケートゾーンをケアするアイテムが、ライフスタイルを見直したり、ヘルスリテラシーを高めたりするきっかけになれば何より嬉しく思います。女性たちが、忙しい日々の中で一呼吸を置いて、自分の心とカラダに耳を傾け、自分自身を愛することができますように。『明日 わたしは 柿の木にのぼる』のアイテムには、そんな私たちの願いが込められています。

 

text by 徳 瑠里香 photo by 川島彩水

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