Web Magazine

心も体もスッキリ!巡る「腸活」は「うんちの観察」からはじまる

生理周期によって便秘になりがち。ストレスを感じると下痢になる……。なんとなく便秘や下痢といった腸の不調を感じている人も少なくないと思います。

 

「うんちを観察するだけで、腸の調子がよくなる」と話すのは、自身も長年下痢に悩まされてきたという、腸活アプリ「ウンログ」うん顧問の中島のりゆきさん。

 

心も体もスッキリ、腸内環境を整えるためにできることとは? 心身を健やかに保つ「うんちと腸活」にまつわる話を中島さんにたっぷり伺いました。

 

下痢が続いてなんとなく不調。「過敏性腸症候群(IBS)」かも?

 

中島さんは長年、腸の不調に悩まされてきたとのことですが、そのご経験からお聞かせいただけますか?

 

はい。幼い頃からお腹が弱く、10代の頃はカップラーメンやファーストフードを食べると必ず下痢をしていました。社会人になった20代は、仕事のストレスも重なって下痢が慢性化しちゃって。通勤中に腹痛で途中下車は日常茶飯事でした。3回ほど胃や大腸の内視鏡検査もしたんですが原因はわからず……。お腹が張っておならが頻繁に出るので、音を立てずにガスを出す方法を編み出しました(笑)。

 

30代になって、仕事の責任とともにストレスも膨らんで、体を壊しまして。34歳で逆流性食道炎を発症し、4ヶ月くらい素うどん以外食べられなかった。それでも下痢をする。さらに、37歳で大腸憩室炎と虫垂炎、いわゆる盲腸になって入院したんです。

 

ひええ、かなりハードな日常が続いていたのですね。その状況を改善するための糸口はどうやって見つけたのでしょう?

 

入院をしていたときに毎日うんちの状態を聞かれるんですが、まったく覚えてなくて。「ウンログ」の創業者の一人が元上司だったので、そのタイミングで思い出して、アプリで記録をつけ始めたんです。入院した際に、腸内環境が荒れ過ぎていたので、抗生物質を投与して腸内細菌を殺して、有用菌を投与する治療を行ったんですね。腸内環境を強制的に整えたあとに、毎日うんちを観察して記録していった。そしたら「腸活」に対する意識が高まって、状態が少しずつ改善していったんです。すごいツールだ!と、半年後にはウンログを手伝うようになりました。

 

ウンログの仕事でうんちの専門家に話を聞く機会があって、そこで「過敏性腸症候群(IBS)」という自分の病気の可能性に気づいたんです。IBSは腸に異常がないにも関わらず、便秘や下痢が数ヶ月以上続く疾患の総称です。検査をしてもポリープや炎症など原因となる異常がないのに、症状があれば確定診断になる。しかも、逆流性食道炎も憩室炎、盲腸もIBSの人が併発しやすい病気だという。改めて内視鏡の検査をしたら異常がなかったので、確定診断で、自分がIBSという病気であることがわかりました。39歳にして、やっと。

 

健康の知識は、自分の体を知る「セルフ・アウェアネス」があってこそ活きる

 

IBSという病気を初めて知りました。原因がわからないと改善もできないですよね。病気がわかってから、どんな治療をしたのでしょう?

 

あまり知られてないんですが、IBSの推定患者数は1,200万人、10人に1人と言われているんですよ。IBSの治療は、おならや下痢の原因となる食事を控えることで、「低フォドマップ」という食事療法が一つの選択肢になります。フォドマップとは、小腸で吸収されにくく大腸で発酵しやすい糖質の総称で、小麦やさつまいも、ヨーグルトなども含まれます。人によって何が体に合わないかは異なるんですが、僕の場合は、小麦を食べると下痢になりやすいことがわかった。だから素うどんしか食べていなかったときも下痢を繰り返していたんですね。





下痢を引き起こす原因がわかったので、小麦を控えて、腸にいい食生活を意識することで、体調のコントロールができるようになりました。あとは、溜まってしまったストレスを発散するため、サウナや瞑想、ランニングや散歩などを取り入れています。IBSは、ストレスで悪化することが多いですが、現代社会で生活するうえでストレスは防ぎようがないので、どう発散するかを考えました。

 

ご自身の体に合った食事療法とストレス発散方法を見つけて、実践されていったのですね。

 

まさに。腸活含め健康維持法の知識は世にたくさん溢れているけど「やり方」だけ覚えても、それが自分に合っているかどうかはわかりません。僕もなんとなく“素うどんは腸に優しいだろう”と思い込んでいたけど、それが下痢の原因だったわけですから。

 

まずは、自分の心身や生活に目を向けて、セルフ・アウェアネス(自己認識)を高める。そして試行錯誤を重ねて生活の質を向上させながら、自分に合った健康維持法を見つけていく。自分の体を守れるのは自分しかいない、ということを身をもって体感しました。ヘルス・リテラシー(健康に関する情報を理解して活かす力)は、セルフ・アウェアネスがあってこそ。自分を知ってはじめて、知識や情報が活かされるのだと思っています。

 

どちらも大事!

セルフ・アウェアネス:自分に意識を向けて、自分の健康状態を知る

ヘルス・リテラシー:健康に関する情報を理解して、活かす

 

「うんちの観察」は、腸内環境を知る最強のツール

 

上澄みの知識で改善策を闇雲に取り入れる前に、まずは「自分を知ること」が大事。腸活をする大前提は「自分の腸内環境を知る」、そのスタートラインに立つのが「うんちの観察」になるのでしょうか?

 

おっしゃる通り!「うんちの観察」は、自分の腸内環境を知るための最強のツールです。毎日うんちを観察することで、自分の腸内環境の変化がわかる。うんちは健康のバロメーターでもあるんですね。僕も長年なんとなく下痢をしているなあと思っていたけど、うんちの記録をつけるようになって、飲み会が続いたからだ、肉ばかり食べたからだ、と下痢をしたときの生活の傾向がわかるようになった。

 

うんちを観察することで、自分の状態に気づき、セルフアウェアネスが高まる。意識が向けば、原因と改善策が見えてくるんですね。だから、うんちを観察すれば腸は改善します。

 

うんちを観察し、記録をつけるときのポイントは?

 

一番重要なチェックポイントは「かたち」です。うんちの形状は、国際基準で7段階に分かれていて、ウンログの基準だと「ころころ」「かちかち」が便秘になります。便秘は、頻度ではなく形状が重要な要素です。例えば一週間に1回の頻度でも、ぶりぶりのうんちが出ていれば必ずしも便秘とは言えないんです。毎日出ていてもそれが「ころころうんち」であれば便秘かもしれません。

 

出典:「ウンログ」

 

理想的なうんちは、かたちが「ぶりぶり」「ほそほそ」「ふわふわ」。色味は黄土色、黄色や茶色に近い色で、量は一回の排便につき150g以上、バナナ1本分くらいです。匂いは特に刺激臭でなければ問題ありません。健康的な理想のうんちの基準を知ったうえで、ぜひ自分のうんちを観察してみてください!

 

とはいえ基本は「かたち」を見て、「ころころ」「かちかち」の便秘、「どろどろ」「びちびち」の下痢になったときは、直近の生活を振り返ってみると、その原因に気づくことができるはずです。

 

私たちは菌と生きている。腸内細菌の多様性を保つために“いいエサ”を与える

 

自分の状態に気づいて、便秘や下痢を改善するために腸内環境を整えたい!と思ったとき、何をすればいいのかも知りたいです。そもそも腸内環境ってなんなのでしょう!?

 

腸内環境は主に「腸内細菌」と「腸の動き」によって成り立っています。腸内環境を整えるということは、イコール「腸内細菌の多様性を保つ」ことでもあるんです。大腸には、約1000種類、100兆個、重さにして1.5〜2kgの腸内細菌が生息していると言われていて。わかりやすい概念として「善玉菌」と「悪玉菌」とその中間の菌たち(日和見菌)に分類されますが、腸内細菌は実に多様で、それぞれがさまざまな働きをしているんですね。短鎖脂肪酸やビタミンB群をつくるとか、免疫力を高めるとか。

 

腸内細菌は日々の食事から吸収した栄養素を餌にして、人の健康を保つために重要な働きをしている。僕らは腸内細菌に依存しながら生きているわけです。もともと住んでいる多様な腸内細菌に元気でいてもらうために、食べることで外部から取り入れる“いいエサ”を与えないと健康は保てない。腸内細菌のいいエサになるものを食べることで、菌を育てて多様性を保つ=腸内細菌を整えることができるんです。

 

腸内細菌が発酵するか、腐敗するか。人間にとって有益なものを出してくれるか、くれないか。その分かれ道になるのが、食べ物を通していいエサをあげられるかどうか、なんです。

 

「何を食べるか」によって、腸内細菌の多様性=腸内環境が変わるわけですね。

 

はい。なので、腸内環境を整える第一歩は「食べるものの選択を変える」こと。具体的には、生きたまま腸に届き菌を増やす「プロバイオティクス」と、菌のエサになる「プレバイオティクス」をとることが、腸活にはベストな選択です。

 

ヨーグルトに含まれるビフィズス菌に代表される「プロバイオティクス」は、いい菌を直接増やすことはできるけれど「助っ人外国人」と呼ばれ、体内にいるのは1〜2日ほどで居ついてはくれません。いい菌が増えるのは一時的なものなので、それだけでは効果が薄く、継続的にとらないと意味がないんですね。だから同時に、もともと自分の腸に住んでいる菌(常在菌)にいいエサをあげて元気にしてあげることが大事!菌のエサになるのが、オリゴ糖や食物繊維に代表される「プレバイオティクス」です。

 

一緒にとることで効果抜群!

・プロバイオティクス(ヨーグルトなど)

 …生きて腸まで届き、菌の数を増やす。腸内には居つかない“助っ人外国人”

・プレバイオティクス(オリゴ糖、食物繊維など)

 …いいエサを与えることで、いい代謝物をつくる。菌の栄養源

 

なので、腸活にはヨーグルトだけでなく、食物繊維を摂取することが欠かせません。食物繊維には、水分を吸収して膨らみうんちのカサを増して腸を刺激する「不溶性食物繊維」と、腸内細菌の餌となって発酵を促す「水溶性食物繊維」があって、2:1の割合でとるといいと言われています。





どちらも含まれている食材が多いですが、例えば便秘の人が不溶性食物繊維をとりすぎると、うんちがカサ増しされて腸に滞留しやすくなってしまう。うんちが腸に滞留すると、菌が腐敗して臭いおならが出る。その場合は、水溶性食物繊維や水分を積極的にとる。かちかちうんちを溜め込まず、ぶりぶりのうんちをスルッと出すためには水分が必要です。

 

下痢の場合は、うんちのカサ増ししてくれる不溶性食物繊維を意識してとったほうがいいですが、過剰になっている腸内環境を落ち着かせて下痢を抑えるのに水溶性食物繊維も有効なのでどちらも良いですね。

 

「腸内細菌」と「腸の動き」を健全に!腸内環境を整える、食生活とは?

 

毎日の食生活で、ヨーグルトとキウイやプルーンを合わせて食べるとか、白米を玄米や押し麦に変えてみるとか、いろいろ工夫ができそうです。「腸活」というと発酵食品がいいイメージがあるのですが……。

 

発酵食品にはプレバイオティクスとプロバイオティクスが含まれているものがほとんどです。例えば白菜キムチは、発酵を行っていた乳酸菌がついている。しかも食物繊維もオリゴ糖といった菌のエサも残っているし、菌が発酵して産んでくれた必須栄養素なども含まれています。要は、体内でいいエサをあげて促していた発酵で得られる栄養素を、体外からそのまま取り入れることができるんですね。

 

野菜が育てられないグリーンランドのエスキモーたちは海鳥をアザラシの中に詰め込んで発酵させる「キビヤック」という発酵食品から必須栄養素をとって生きていると言われていて。それくらい発酵食品には、人の健康にとっていいものが含まれているんです。とはいえ、塩分が多いものも多いのでそれだけで生活するのは難しいですよね。

 

味噌汁、キムチ、甘酒、納豆……ダイレクトにいい菌を届けられる発酵食品、積極的にとっていきたいものです。逆に腐敗を促す、控えた方がいいものはあるんでしょうか?

 

避けた方がいいのは添加物ですね。腸のひだが摩耗されて吸収できず、消化できない“ゴミ”のようなものが体内に溜まっていってしまうので。特に加工肉なんかは、腸内環境を悪化させる腐敗成分が出やすいと言われています。できれば肉も控える。日本人は穀物の消化に適した腸なので、肉の消化にあまり適していないらしいです。

 

それからIBSの人は、低フォドマップを意識することも重要です。人によっては、一般的にいいとされるヨーグルトやはちみつ、納豆などが腸の不調を引き起こしている可能性もあるので。





ほかに日常の食生活で意識した方がいいことはありますか?

 

「腸の動き」においては、「食べ方」も重要です。口にものを入れた瞬間に胃酸が出て腸が働くので、胃に負担がかかると腸が敏感に反応して下痢をしてしまうことも。胃に負担をかけないようによく噛んで食べ、食べすぎない。朝一番に刺激的なものを入れずに白湯を飲む、とかですね。腸を動かすという意味でも、朝食は抜かずに食べたほうがいいと思います。

 

腸内環境を整える日々の食事のポイント

〜「腸内細菌」の“いい発酵”を促し「腸の動き」をよくするために〜

・プロバイオティクス(ヨーグルト)とプレバイオティクス(食物繊維)をとる

・不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を2:1の割合で、水分も積極的に

・ダイレクトに届く発酵食品は“腸”優秀

・菌の腐敗を促す添加物、加工肉は控える

・IBSの人は低フォドマップ食を意識する

・胃に負担をかけないようよく噛んで、食べすぎない

 

腸内環境と「自律神経」の親密な関係性

 

食生活を整えること以外に、腸活へのアプローチはあるんでしょうか?

 

ありますねえ。腸内環境は「自律神経」とも深く関わっているんです。緊張や不安、ストレスを感じるときに、下痢や便秘、お腹の調子が悪くなったことはありませんか?腸は「第二の脳」と言われるほど、神経細胞がたくさん集まっていて、その働きは自律神経に左右されるんです。なので、「自律神経を整える」ことも、腸活には重要です。

 

自律神経は、活動的にアクセルを踏む「交感神経」とブレーキをかけリラックスする「副交感神経」のバランスで成り立っています。シーソーのように、日中は交感神経が優位になり、夜は副交感神経が優位になる。そのバランスが崩れると、腸をはじめ体に不調が起きるんですね。

 

そのバランスを保つためには、規則正しい生活を心がけて、生体リズムを整える。朝太陽の光を浴びて、日中は軽い運動を取り入れるなど活動的に過ごし、夜はしっかり眠る。

 

それから血流が悪化する「冷え」も大敵です。腸には多くの毛細血管が走っていて、体が冷えると腸の動きが悪くなる。温かい飲み物を飲む、湯たんぽや蒸しタオルでお腹を温めるのも冷え改善には効果的です。

 

あとは、寒暖差や環境の変化など外部環境からのストレスを溜め込まないように、瞑想やサウナなど、意識的にリラックスして副交感神経を優位にする時間を持つのもおすすめです。自分に合ったストレス発散法、リラックス方法を見つけていただけたら。

 

腸は副交感神経が優位になる22時〜2時頃に動いていると言われているんですね。夜寝る前に「腸もみマッサージ」をすることも、活発な腸の動きを促してくれます。やり方としては、膝を立てて仰向けに寝て、お尻を高く上げて、腸の位置を正す。おへそを中心に左右、上下にある小腸つぼを親指でグーッと押す。その後、おへその周りを指3本で時計回りで大腸をノの字にグッグッと押していく。腸もみの詳細はウンログのサイト(ウントピ!や「ウンTube」)でも発信しています。

 

──うんちを観察して自分の腸内環境を知り、「食事」と「自律神経」を整えるアプローチで腸内環境をよくしていく。腸活のポイントがわかってきました!

 

自立神経を整えて、「腸の動き」を活発にするポイント

・朝太陽の光を浴びて、生体リズムを整える

・腸にも「冷え」は大敵!体を温める

・副交感神経が優位になるリラックス時間を持つ

・眠る前に「腸もみマッサージ」を取り入れる

 

腸活で、女性ホルモンによる揺れの振り幅を小さくする

 

妊娠中や更年期など、女性ホルモンによる心身の振れ幅がある女性ならではの腸活アプローチはあるのでしょうか?

 

生物学的な女性のほうが便秘になりやすいのにはいくつかの理由があって、まず女性ホルモンの「黄体ホルモン(プロゲステロン)」には大腸の動きを抑える作用があります。それから大腸は肋骨の両脇の端にくっついてぶらさがっていているんですが、女性は腹筋が少なく、子宮があるため腸が下がりやすく、うんちの通り道が狭くなってしまうことも。さらに、骨盤底筋群の筋力が弱ってくると踏ん張る力がなくなってしまうこともあります。妊娠や生理の周期によって便秘になりやすいのは仕方ないとして、骨盤底筋を鍛えることはスムーズにうんちを出すことにもつながります。

 

 

また、腸活によっていい菌を育てていくことで、女性ホルモンによる心身の調子の振れ幅を小さくしていくこともできると思います。例えば女性ホルモンの「卵胞ホルモン(エストロゲン)」によく似た「エクオール産生菌」という菌があって、更年期症状の緩和などに効果があると言われています。が、腸内細菌は3歳頃までに決まるので、エクオール産生菌が腸内にいる人は女性の半数くらいなんですね。ただ腸内環境を整えたり、大豆類をとることでエクオールの産出量が増えるという報告もあります。なので、腸活として大豆製品を積極的に食べることで、更年期や生理周期による揺れを抑えることはできるはずなんです。

 

60代の母が甘酒を豆乳で割って毎日飲んで調子がよくなったと言っていたことを思い出しました。

 

3歳頃までに決まる腸内環境。いい菌を子どもに贈るために

 

腸内環境は3歳までに決まるとのことですが、妊娠中や産後に、子どもの腸内環境を育てるためにできることはあるのでしょうか?

 

腸内環境は遺伝ではなく、産まれるときのお母さんの菌の状態に影響を受けるんですね。産道を通ってくるときに膣内細菌をパクパクと口に入れる。肛門も近くにあり、それらが最初の腸内細菌になります。なのでデリケートゾーンのケアにも意識を向けるといいかもしれません。膣内を酸性に保っておくと、良い菌が働き膣内を清潔に保ってくれます。さらに腸と膣は隣り合っていて、常在菌が行き来すると考えられており、腸内環境を整えると、膣内環境も良くなると期待されています。腸内環境を整えることで、いい菌たちを赤ちゃんに贈ることができるのではないでしょうか。

 

また、産まれてきてからは、母乳をあげる場合、皮膚についているビフィズス菌や乳酸菌といったさまざまな常在菌を取り入れます。かつ母乳はオリゴ糖の塊なので、おっぱいを飲むことで赤ちゃんの腸内にオリゴ糖を餌にしてビフィズス菌が爆発的に増えていくんです。母乳を飲んでいる赤ちゃんのうんちが黄色でどこかいい匂いがするのは、ビフィズス菌の影響もあると思います。

 

その後も赤ちゃんは3歳頃までいろんなものを舐め回して菌を自分の中に取り入れて、腸内環境の多様性をつくっていく。なので、あまり除菌をしすぎずに、デリケートゾーンや赤ちゃんが触れる地肌の菌の多様性を保っていけるとよいと思います。

 

デリケートゾーンもそうですが、私たちは菌と一緒に生きている。外部から菌を取り入れながら自分の中にいる常在菌を育て、菌の多様性を守っていきたいです。

 

腸内にどんな菌がいて、どんな食べ物を好んでいるかも人によって異なります。うんちの観察から自分の腸の状態を知って、自分に合った食事や自律神経の整え方を見つけて、試行錯誤と改善を繰り返していく。ぜひ「腸活」に取り組んでみてください!

 

text by 徳 瑠里香  illustration by 遠藤光太

 

「ウンログ」うん顧問・中島 規之さん

うんち記録アプリ「ウンログ」などを運営する、ウンログ株式会社の元取締役で現在うん顧問と、大手通信キャリアでヘルスケアサービスの責任者を務める。 IBS(過敏性腸症候群)と逆流性食道炎を患い、ウンログを使った腸活で症状をコントロールできるようになった経験を活かし、ヘルスケアや腸内環境に関わる新しいサービスをつくっている。

最新情報は公式Instagram