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柿の木便り

パートナーと一緒に考えたい、お互いのカラダのこと(前編)

生理や避妊・妊娠・不妊にまつわることなど、女性が心とカラダを健やかに保ち日々を過ごすためには、パートナーの理解が不可欠だと思います。でも、実際には女性がひとりで抱えがち。異なるお互いのカラダを知り理解するのには、少しハードルがある気がします。

 

お互いが歩み寄っていくために大切なことは?

 

生理管理アプリ「ケアミー」と性をただしく知るメディア「Coyoli」を展開する株式会社ヘルスアンドライツの代表・吉川雄司さんにお話を聞きました。

 

 

   

知っておきたい女性のカラダ。卵子と生理の話

 

 

−男性パートナーに伝える以前に、女性も自身のカラダについてちゃんと理解していないこともあるのかなと思うのですが……。

 

吉川:そうかもしれませんね。女性は年齢を重ねるとともに生卵子が減り続けていることを知らない人も多い気がします。保有している卵子の数にも個人差はあるのですが、平均的に初潮を迎えたときに30万個くらいの卵子があって、毎月のように数100〜1000個ほど減って、50歳前後にはほとんどなくなり閉経を迎える。卵子は年齢に伴い数も減って質も下がっていきますが、最初から保有している卵子の数や、それらが減っていくペースは人によって違うため出産のタイムリミットは人によって異なります。

 

子どもを産みたいと思っている人は、残りの卵子の数の目安を知る検査が産婦人科でできるので、早めに受けてみると良いと思います。検査を受けておくと、その後のキャリアや出産を含むライフプランニングも立てやすくなるはず。知識があれば取れる対策も変わってきますよね。

 

たしかに。女性にとって妊娠・出産はキャリア形成にも大きく関わってくることですもんね。ほかに、普段の生活の中で女性が意識しておいたほうがいいことはありますか?

 

もっと日常的な話でいえば、生理痛は我慢しないほうがいい。薬が効かなくなったという人がいるけど、薬に慣れて効き目がなくなるようなことは基本的にはないはずなので、それは痛みがよりひどくなっているケースが多いと思うんですよね。生理痛がひどくなった場合、子宮内膜症の可能性もあります。生理のたびに強い痛みを感じるだけでなく、不妊の原因にもなります。

  

 

(子宮内膜症とは、腹膜や子宮筋層内、卵巣など、主に骨盤内の子宮内腔以外の場所に子宮内膜ができる病気。子宮内膜が排出されず、炎症や癒着を引き起こしてしまう)

 

女性にとって、生理やおりもの、デリケートゾーンは日々の健康のバロメーターだと思うんです。ちゃんとホルモンが分泌されていて、正しく排卵が起きていて、正しく子宮内膜が成長していれば、正しく生理がくるはずですし、健康であればおりものにも異常が起こることはない。

 

デリケートゾーンが健康のバロメーターだと知っておけば、異常が起きていたらアンテナが立ちますよね。でも、痛みを我慢して、異変に目を背けていたら気づけません。生理やおりもの、デリケートゾーンを通して自身の心とカラダにちゃんと目を向けて、ケアをすることが大事だと思います。

 

ケアミー」を使うと、生理が起きた日付だけでなく、経血量や生理痛、おりもの色やにおい、性質、その時の自分の心とカラダの状況を記録することができるので、自然と意識が向きますね。 

 

    

知っておきたい男性のカラダ。正しい自慰行為と精子の真実

 

吉川さんの著書『妊活大事典』を読んでいてハッとしたのが、女性である私が、パートナーである男性のカラダについてよく知らないということです。

 

まあ、男性自身も自分のカラダについてよくわかってないと思いますよ。僕もそうでしたが、小中高の保健体育ではちゃんと学んでないですし。とはいえ思春期になれば気にはなるし、セックスを経験してからもネット検索やAVで経験的に情報を仕入れているけれど、リスクについての正しい知識は持ってないことが多い。

 

リスクって具体的にはどんなことですか?

 

リスクとは、たとえば腟内射精障害。要はパートナーとのセックスで中でいけない。ぼんやり遅漏だと思っている人も多いけど、一つの症状なんです。原因として多いのは、自慰行為の方法が間違っていること。強く握りしめ過ぎていたり、床にこすりつけたり、圧を加えてしまっている。あとは、特定のジャンルのAVじゃないといけないとか、カップルのセックスではありえない状況で自慰行為をしてしまっている。

 

性の楽しみ方は個人の自由なんですけど、生殖医療を活用せず、パートナーと肉体的なセックスで子どもが欲しいと思っているなら、正しい自慰行為をしないといけないんですね。

 

はあ。男性にとっては、適度に自慰行為をすることも大事なんですよね?

 

夫婦間のセックスで子どもが欲しいと思っているなら、週に2〜3回ほど自慰行為をすることをおすすめします。不妊治療をしている夫婦間では女性から「ちゃんと抜いてね」と言うこともあると聞きますね。男性の中には自慰行為をしない禁欲期間が長いほど渾身の一発が出ると思っている人も多いけど、そうじゃない。程よく抜いて、コンディションを整えることが大事なんです。

 

先に女性の卵子の話がありましたが、男性の精子の量や質はどうなんでしょう?

 

精子の質は、①精液量、②精子濃度、③精子運動率、④正常形態率など、いくつもの項目で決まります。1回の射精で1億匹くらいの精子が一気に走り出すようなイメージを持っている男性も多いと思うんですが、実は頭が二つあったり尻尾が短かったり、正常ではない形をした精子が多く含まれていることがあります。無精子症と言って白い液体が出ていても精子がいないこともありますし。

 

男性側にも不妊の原因があることをちゃんと知っておくこと。妊活をする場合は、男性も産婦人科や泌尿器科、男性不妊専門のクリニックで自分の精子の質を知るために性液検査をすることをおすすめします。

 

卵子は年齢に伴い数が減っていき増やすことはできませんが、精子は毎日新しく作られています。そのため、普段の生活習慣の質が、精子の質にも繋がることがあります。

 

それはどんな生活習慣ですか?

 

「精子の元気がなくなる7つのNG行動」を紹介しますね。

 

①喫煙

②長風呂サウナ

③ブリーフ・ボクサーパンツ (熱がこもるような下着)

④膝上でのPC作業

⑤長時間の自転車こぎ

⑥育毛剤

⑦禁欲での溜め込み

 

ほかにも、大人になってからのおたふく風邪も不妊の要因になると言われています。夫婦間のセックスで子どもが欲しいと思っている人は、これらの行為が精子の質を下げる可能性があることを知っておいてください。

 

パートナーとより深くお互いを理解し合うためにも、まずは男性も女性も、それぞれのカラダについての正しい知識を持っておくことが大事だと思います。

 

(後編へつづく)

吉川 雄司(よしかわ ゆうじ)さん

著書「やさしく 正しい 妊活大事典」(プレジデント社)。生殖機能に関する正しい知識の普及、妊活・不妊治療に取り組む方のサポートを目的とした事業を運営する株式会社ヘルスアンドライツの代表取締役。日テレやTBSなどの番組出演、新聞やメディアへの掲載多数。