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柿の木便り

生理中も快適に。女性をもっと自由にアクティブにしてくれる「月経カップ」(後編)

生理の煩わしさから解放されたい!そんな気持ちに寄り添ってくれる、ナプキンやタンポンに替わる新しい生理用品「月経カップ」。身体の中に入れても安全な医療用シリコーン製のカップを腟の中に入れて、経血を溜めて使います。

 

「月経カップは、女性をより快適に自由にアクティブにしてくれる」

 

そう信じて、日本で月経カップを販売するインテグロ株式会社の神林美帆さんにお話を聞きました。〈前編〉につづく〈後編〉は、月経カップの選び方とその可能性について。

(前編はこちら)

 

   

出産経験と年齢と経血量が目安に。月経カップの選び方

 

−実際に使ってみたいと思うのですが、月経カップにはどんな種類があるのでしょう?

 

神林: 世界にはいろんな種類がありますが、インテグロで取り扱っているのは、2014年にアメリカ・カルフォルニアで誕生した「エヴァカップ」、2016年に開発された「スーパージェニー」です。

 

「エヴァカップ」は、ほどよい厚さとやわらかさ、弾力性を兼ね揃えているので、挿入しやすく密着しやすいんです。弊社の月経カップアドバイザーの木下はこれまで20種類以上試してきましたが、とっても使いやすいので、初めての方にオススメしています。

 

経血量が多い人には、容量たっぷりの「スーパージェニー」を選んでいただいていますね。

 

✳︎左から、ディーバカップ、スーパージェニー、エヴァカップ

 

 

また、今年5月から、私たちのグループ会社であるハーベリー株式会社で、「ディーバカップ」の販売も開始しました。2003年にカナダで誕生した、月経カップの老舗ブランドで、世界で最も売れている商品です。「ディーバカップ」は10代から安心して使える小さなカップから、経血量が多い人用の大きなものまで、3つのサイズがあるんです。

 

−サイズなど、選ぶときのポイントはありますか?

 

   

写真提供:インテグロ株式会社
✳︎ディーバーカップの3つのサイズ

 

神林: 腟のサイズや状態は人によって微妙に違うので、あくまで目安にはなりますが、サイズ選びのポイントは第一に出産経験と年齢、次に経血量ですね。初潮を迎えて間もない18歳以下の方は一番小さなサイズ、19歳〜30歳くらいまで、経血量が普通の方は真ん中のサイズ、出産経験のある方、30歳以上の方、経血量が多めの方は大きなサイズがオススメです。

 

というのも、やっぱり出産を経験したり30歳を超えてくると、骨盤底筋が弱くなっていく傾向があるので、小さいサイズだと下がってしまうことがあるんですね。骨盤底筋を鍛えている人は別ですが。

 

−なるほど。年齢はわかりやすいですが、経血量については他の人と比べたり実際に測ったりすることができないので、よくわからないような……。

 

神林さん: そうですよね。使い始めは推測で選ぶことになるのですが、月経カップを使うと自分の経血量がわかるようになるんですよ!メモリがついているので、カップを取り出すときに溜まっている量をメモして、足していけば生理期間中の経血量がわかります。

 

産婦人科学会で正常な経血量として定められているのは、20ml〜140ml で、7倍の差があります。140mlを超える場合は、「過多月経」になるんですね。

 

−月経カップを使うことで自分の生理の経血量を知ることができるのですね。

  

 

生理を快適に、女性をより自由にアクティブにしてくれる月経カップ

 

−実際に使っている方からはどんな声が届いていますか?

 

神林: 今年5月にこの事業を初めて2周年を迎え、月経カップを使ってくださっている方をお招きして小さな感謝祭を開いたのですが、みなさん、月経カップの体験を熱く語ってくださって、なんて奥が深いんだろうと感激しました。

 

たとえば、お子さんがいる方は、「幼い頃から身近にある可愛い形をした月経カップを切り口に娘の性教育ができる」とおっしゃっていて。カップを入れるということは、穴、つまり腟があるわけで、そこを切り口に性の話をしていくというんですね。

 

また、運動指導員の方で、「自立神経系を安定させることで身体や心を整える」という心理系のアプローチを勉強している方がいるのですが、彼女が「月経カップを使っている人は前向きで好奇心にあふれていて、色々なことにチャレンジしている人が多いのでは?」と言っていて。つまり、自律神経が乱れて、不安が強く緊張してると、体に力が入ってしまって、カップがうまく入らない。逆に月経カップを使えるということは、自律神経系の状態がよい状態なのではないかと。

 

あとは、妊娠出産を経て、カラダが自分のものではないように感じていたけど「月経カップを使うことで自分のカラダを取り戻せた感覚がした」という感想もいただきました。最近社内で話題になったのは「月経カップは私の一つの臓器のようだ」というコメント。そんなふうに、感じる方がいるんだあって、驚いちゃいました。

 

−みなさん、月経カップへの愛が深いですね。「ウェルビーイング事業」として、女性がより快適で自由に過ごせるヘルスケア商品を届けるという、インテグロさんが目指す世界をまさに体現されているんですね

 

神林さん: そうなんです。もともとこの事業を始めたのは、エヴァカップを開発したカルフォルニアの生理用品メーカーAniganのCEOサラが夫の友人の奥様で。彼女が身近にいたことで、月経カップを知り、衝撃を受けて、これは日本の女性たちをより快適に自由にしてくれると思ったんですね。

 

というのも、女性は一生涯で時間に換算すると7年間ほど生理の状態にあると言われていて、多かれ少なかれ仕事や家庭、生活に影響がありますよね。生理がもっと快適になれば、より女性は自由にアクティブに、自分のやりたいことに集中できる。月経カップが叶えてくれる、そんな未来にワクワクしちゃって、今に至ります。

 

自分があの頃、想像していた以上の体験をユーザーの方が見出して、切り拓いていってくださっていることが本当に頼もしく、嬉しいんです。

 

−月経カップの可能性を感じます。ありがとうございました!

 

(おわり)

 

text & photo by 徳 留里香 

神林 美帆(かんばやし みほ)さん
インテグロ株式会社 代表取締役社長/COO

約8年間、国内大手航空会社にて国際線キャビンアテンダントとして勤務した後、カナダに留学。2005年から米国ドライマウス向けオーラルケア製品の日本市場の立ち上げに携わる。2017年10月インテグロの代表に就任、ウェルビーイング事業を設立。2014年、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科修了、経営修士号MBA取得。