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デリケートゾーン=心とカラダをケアするうえで大事な3つのこと(後編)

働き暮らす日々、心もカラダも健やかに保ちたい。そのためにできるセルフケアとは?

「デリケートゾーンは自分のカラダを知るためのバロメーター」

そう話す、産婦人科医・広尾レディースの宗田聡先生に話を聞きました。

(前編からの続き)

 

デリケートゾーンをバロメーターに、まずは自分のカラダを知ること

 

デリケートゾーンにもともといる菌のバランスが崩れるとトラブルが起きるとのことですが、薬以外で、整えていくためにできることはありますか?

 

宗田:まずは、「どうしてデリケートゾーンにトラブルが起きてしまったんだろう?」ということを考えてほしいです。

菌のバランスが崩れてトラブルが起きてしまう要因の改善は、そのまま普段から大事にしてほしいことにつながります。心とカラダが健やかに保てていれば、デリケートゾーンにトラブルは起きませんからね。

自分の心とカラダを健やかに保つために大事にしたいこと=デリケートゾーンをケアするうえで大事にしたいことでもあるんです。デリケートゾーンのケアもある種、顔などのスキンケアと同じですよ。普段から大事にしてほしいことは次の3つ。

 

①体の免疫力をあげること

②通気性をよくすること

③バランスの良い食事をとること

宗田:まず、先にお伝えしたように、睡眠不足や疲労、ストレスなど免疫力が低下すると菌のバランスは崩れていきます。睡眠時間をしっかりとって、カラダを十分に休めること。

20代の頃は仕事を遅くまでして飲みに行って徹夜で遊んでも平気だったかもしれませんが、年齢を重ねて30歳を過ぎれば、体力も落ち、生活の乱れがデリケートゾーンの異常としてあらわれることは少なくありません。


宗田:次に、デリケートゾーンの通気性を保つこと。ジーンズをはじめとしたズボン、おりものシート、綿素材ではないレースの下着などは、通気性が悪く、ムレを引き起こす原因にもなります。通気性が悪いと、雑菌やカンジダのようなカビ類が繁殖しやすい環境になります。

常に身につけるなというのは難しいとは思いますが、体調が悪いときは、できる限り化学繊維ではなく、コットンなど肌に優しい素材をデリケートゾーンに当てることを意識してください。

 

VIO脱毛は通気性に関係ありますか?

 

宗田:脱毛は通気性とは関係がありません。頭にできものができたからと言って髪の毛を剃る必要はないでしょう? それと同じことです。


そして、バランスの良い食事を心がけること。ビタミンやミネラルなど肌に良いものを意識して摂取できると良いでしょう。とはいえ、極端になりすぎず、あらゆる栄養素をバランスよく美味しく食べるのが理想的です。

 

何か特別なことをする必要はなくて、生きていくうえで基本的なことや肌にとっていいことをきちんとやることが、デリケートゾーンにおいても大事なんですね。

 

宗田:その通り! それが菌のバランスを整えて、デリケートゾーンのトラブルの根本的な治療や予防になるんです。逆に言えば、デリケートゾーンがトラブルもなく健康な状態であれば、自身のカラダが健やかに保たれている証でもあるんですね。

つまりデリケートゾーンは、自分のカラダにとって大事なこれらのことがおろそかになっていないかをチェックするバロメーターとしてぴったりなんです。

 

ゴシゴシ洗いすぎないで!自分の手で触れて健康状態をチェック

 

洗い方など、デリケートゾーンの普段のケアはどうすればよいのでしょうか?

 

宗田:膣内は、口の中と同じ柔らかい組織からなるので、似た状態と考えていいでしょう。口内を清潔に保たないといけないからといって強力な消毒液を使ったり、石鹸やブラシでゴシゴシこすることはしませんよね。デリケートゾーンも同じです。

デリケートゾーンの日常のケアで大事なことは、洗いすぎないことです。


膣内は健康な状態であれば、自浄作用で肌を守ることができる“弱酸性”になっています。なので、殺菌力のある石鹸でゴシゴシ洗ったり、膣内を洗浄したりすることはおすすめしません。

自分のカラダを守ってくれる菌のバランスを崩してしまうことにもなりますし、粘膜が荒れてばい菌もつきやすくなりますから。

また、膣内は複雑なかたちをしているので、無理に自己洗浄することで膣内の奥に汚れを押し込んでしまうこともあります。また、おりものが出るからといって一生懸命洗っても、鼻水をかんでも鼻水がまた出るのと同じように、根本的な解決策にはならないんですね。

なので、普段のケアとしては、お湯や水で、シャワーや自分の手で触って外側をすすぐ程度で十分です。

ケア用品を使う場合も、体の中で自浄作用が働いているので、防腐剤や石油系成分など自然ではないものは使わない方がいいでしょう。オーガニックなものがいい理由はちゃんとあるんですね。

「触っちゃいけないところ」という意識がある人もいるけれど、自分で毎日触ることで異常があった場合に気づくこともできます。

デリケートゾーンはある意味、健康状態をチェックするために、自身のカラダと対話できるパーツです。

だからこそ自分の手で触れて、デリケートゾーンをひとつのバロメーターとして、自分の心とカラダの状態を知り、大事にケアしてあげてください。

おわり

 

*自身のカラダのことをもっと知りたい方は、宗田先生の著書『31歳からの子宮の教科書』を手に取ってみてください。

 

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宗田聡先生

医学博士

広尾レディース院長、茨城県立医療大学客員教授、東京慈恵会医科大学産婦人科非常勤講師。日本産科婦人科学会認定医・指導医、臨床遺伝学認定医・指導医、認定産業医、アメリカ人類遺伝学会(ACMG)上級会員(Fellow)。日英論文多数、専門書(翻訳)執筆にも定評があり、一般誌やWEBなどで女性の健康に関する記事を多数執筆。著書には、『産後ママの心と体をケアする本』『産後うつ病ガイドブック』『これからはじめる周産期メンタルヘルス』『31歳からの子宮の教科書』など。

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